
iDeCo(イデコ)や企業型DCを調べていると、よく目にする一文があります。
「原則60歳まで引き出せません」
これを読んで、
「え?途中でお金が必要になっても使えないの?」
「そんなの不便じゃない?」
と、不安になった方もいるのではないでしょうか。
でも実は、この「60歳まで引き出せない」というルールには、ちゃんとした理由があります。
そしてこのルールこそが、将来のお金をしっかり貯めるための魔法でもあるんです。
今回は、この「引き出せないおきて」の正体と、どう付き合えばいいのかを、やさしくわかりやすく解説していきます。
なぜ「60歳まで引き出せない」の?
結論からいうと、iDeCoや企業型DCは、老後資金を自分で準備するための制度だからです。
目的が最初から「老後のため」なので、途中で自由に引き出せてしまうと、
つい使ってしまう…
将来のお金が残らない…
ということになってしまうんですね。
だからこそ、あえてカギをかけて「60歳まで開かない貯金箱」にしてあるんです。
この引き出せないルールは、実は味方!
ふだん貯金しようと思っても、つい使ってしまう…ということ、ありませんか?
たとえば、
クレジットカードの支払い
子どもの学費や急な出費
自分へのごほうび
これらも大切な支出ですが、「老後のための資金」はどうしても後回しにされがちです。
でもiDeCoや企業型DCなら、毎月自動で天引きされて、しかも60歳まで手をつけられない。
つまりこれは、
「将来の自分のために、強制的に積み立ててくれる仕組み」
なんです。
ふつうの銀行口座だと、ちょっと気が緩むと残高が減ってしまうもの。
でもiDeCoは、開けられない貯金箱。気軽には取り崩せません。
だからこそ、10年後、20年後の自分に「よく頑張ってくれた」と感謝される貯金になるんです。
たとえるなら「未来の鍵付きお年玉箱」
お年玉をもらっても、すぐに使ってしまう子どもが多いですよね。
でも、親が「これは大学のために」と言って、専用の通帳に入れてくれていたら…
そのお金は、将来とてもありがたいものになります。
iDeCoや企業型DCは、そんな未来の自分のために取っておく鍵付きお年玉箱なんです。
例外的に引き出せるケースもあります
とはいえ、何があっても絶対に引き出せない…というわけではありません。
法律上、いくつかの「例外」が定められています。
例外として引き出せるケース
高度障害になったとき
死亡したとき(遺族に支給)
iDeCoに加入できなくなった事情がある場合(脱退一時金)※条件あり
ただし、脱退一時金の条件はとても厳しく、例えば:
加入から2年未満
拠出(積立)停止中
資産残高が少ない(20万円未満)
など、厳格な制限があり、「途中解約」は基本できないと思っておくのが無難です。
短期の資金には向いていません
このように、iDeCoや企業型DCはあくまでも「長期的な資産づくり」のための制度です。
たとえば、
数年後に住宅購入を考えている
急な医療費に備えておきたい
転職するかもしれないからお金は自由にしておきたい
というような短期的な目的には向きません。
逆に、
将来の年金に不安がある
老後の生活費を少しでも増やしたい
60歳以降の生活を少しラクにしたい
という中長期の視点で考える人にとっては、非常に心強い仕組みになります。
ポジティブに考えよう。「今の自分」と「未来の自分」の連携プレー
私たちの生活には、日々たくさんの出費があります。
でも、未来の自分は声をあげてくれません。
だからこそ、今の自分が未来の自分の味方になることが大切なんです。
iDeCoや企業型DCは、「未来の自分を応援する、今の自分の仕組み」。
言いかえれば、未来へのプレゼント予約みたいなものです。
60歳までは引き出せないけれど、
それこそがこの制度のいちばんの強みだと、ぜひ前向きに捉えてみてください。
よくある質問(Q&A)
Q:本当に60歳まで一切使えないの?
A:原則として引き出せませんが、前述のとおり「高度障害」「死亡」などの例外はあります。ただし「旅行に行きたい」「引っ越し資金に使いたい」などの理由では絶対に使えません。
Q:転職したらどうなるの?
A:転職先でもiDeCoやDCに加入できる場合は、資産をそのまま移管(引き継ぎ)できます。退職して一時的に加入できなくても、60歳までは保有し続けられます。
Q:60歳以降はどうやって受け取るの?
A:60歳になった時点で「一括でもらう」「年金のように分割してもらう」など受け取り方法を選べます(制度により異なります)。
まとめ|「鍵がかかっているからこそ、未来のお金になる」
iDeCoや企業型DCの「60歳まで引き出せないルール」は、一見すると不便に感じるかもしれません。
でも、それはあなたのお金を守るための“鍵”なんです。
毎月コツコツ積み立てる
勝手に使わずに育てる
将来、自分に戻ってくる
これは、言わば「未来の自分へのタイムカプセル」。
老後の生活に余裕を持たせるために、
今の自分ができる最高のプレゼントともいえるのではないでしょうか。
次回は、「毎月いくら積み立てればいい?」掛金額の決め方ガイド
いよいよ次回は、誰もが気になる「毎月の掛金額の決め方」。
「いくらから始められる?」「ムリのない金額って?」など、あなたのライフスタイルに合わせた“ちょうどいい金額”の考え方をご紹介します!