
iDeCo(イデコ)や企業型DCを始めた方の多くが、最初にこんな疑問を感じます。
「投資商品を選んだら、あとは放っておいていいのかな?」
「定期的に何か見直す必要があるの?」
結論から言うと…
「基本はほったらかしでOK。でも、ときどきメンテナンスするともっと良くなる」
というのが正直なところです。
今回は、将来の資産をじょうずに育てるためのちょっとした習慣、
「リバランス」という考え方について、
専門知識ゼロの方にもわかりやすくお届けします。
リバランスって何?簡単に言うと「伸びすぎた枝の剪定」です
たとえば、家の庭に木を植えたとしましょう。
最初はバランスよく枝葉が伸びていたのに、時間がたつと
一方向にだけグングン伸びたり
葉っぱが密集して日当たりが悪くなったり
…と、偏ってしまうことがありますよね。
そんなとき、枝を整えて「元の形」に戻す作業が「剪定(せんてい)」。
資産運用でも、これと同じことが起きます。
資産のバランスも時間とともにズレるんです
たとえばあなたが、最初にこんなバランスで投資を始めたとします:
株式ファンド:50%
債券ファンド:50%
ところが数年後、株式ファンドの価値が大きく上がり、こうなってしまったらどうでしょう?
株式ファンド:70%
債券ファンド:30%
これは一見「増えてよかった!」と思うかもしれませんが、実はリスクが大きくなっている状態なんです。
なぜなら、「株式」の割合が増えるほど、相場の影響を受けやすくなるから。
つまり、知らない間に「リスクの高い運用」になってしまっている可能性があるんですね。
それを元に戻すのが「リバランス」
「リバランス」とは、最初に決めた資産配分に戻すことです。
つまり、
「増えすぎた商品を少し売って、少なめの資産に振り分けなおす」
という作業。
これによって、リスクの偏りを抑えたり、安定した運用を続けやすくなるのです。
たとえるなら、
伸びすぎた枝を切ってバランスを整える
重心が傾いたシーソーを戻す
そんなイメージです。
どれくらいの頻度でやればいいの?
目安としては年に1回くらいでOKです。
たとえば、年末や誕生日など、自分で決めた「毎年1回のチェック日」を作っておくと、
習慣として無理なく続けやすくなります。
リバランスのタイミング目安:
年に1回(カレンダーやスマホでリマインド)
株価や為替の大きな変動があったとき
生活の変化(転職、結婚、子どもの進学など)
実際のやり方は?「スイッチング」を使えばカンタン!
リバランスの操作は、思ったよりずっと簡単です。
iDeCoや企業型DCでは、多くの金融機関がWebサイトや専用アプリで次のような機能を用意しています
●「スイッチング」機能とは?
→今持っている資産を、別の商品に乗り換える手続きです。
たとえば:
株式ファンドを30万円分売却して
債券ファンドにその30万円を移す
このように、「偏った資産配分を元に戻す操作」がスイッチングです。
数クリックで完了できるケースが多いので、
パソコンやスマホに慣れていない人でも安心です。
よくある質問(Q&A)
Q:リバランスしないとダメですか?
A:必ずしも「しないといけない」わけではありません。ただ、バランスが崩れたままだと、リスクが偏る可能性があるので、年1回のメンテナンスがおすすめです。
Q:初心者には難しそうですが…?
A:難しそうに聞こえるかもしれませんが、やることは「どれを何%にしたいかを調整する」だけ。心配なときは、運用会社のサポート窓口で相談もできますよ。
Q:自動でやってくれる仕組みはありますか?
A:一部の運用商品(バランス型ファンドなど)は、最初から自動でリバランスしてくれる設計になっています。初心者の方にはこちらもおすすめです。
まとめ|ほったらかしでもOK。でも、年1回のメンテで安心が増える
iDeCoや企業型DCは、コツコツ積み立てていく仕組みなので、基本的には「長期・放置でOK」です。
でも、年に1回だけ「リバランス」をすることで、
リスクの偏りをリセット
今の資産状況を確認
自分の投資方針とずれていないかを見直せる
こうした効果が期待できます。
「家の庭木の手入れ」や「健康診断」のように、
将来の安心のために、年1回の点検をする
そんな気持ちで取り組んでみてください。
次回は、未来の自分への最高の贈り物。さあ、最初の一歩を踏み出そう!【まとめ】
全11回にわたってお届けしてきたiDeCo・企業型DC入門講座。
いよいよ最終回は、振り返りと「今日から始めるヒント」をまとめてお届けします。
未来の自分に「ありがとう」と言ってもらえるような一歩、踏み出してみませんか?